機械加工とは?どんな種類があるの?
このページでは機械加工の概要についてご説明いたします。
機械加工とは
機械加工とはその名の通り「工作機械を使って材料を加工をすること」です。代表的な工作機械には、フライス盤・旋盤・ボール盤などがあります。いわゆる「加工屋さん」ではこれらの工作機械を駆使して機械部品を製造しています。もちろん加工屋さんは各社得意分野を持っています。船舶や発電機に使用される巨大部品の切削加工を得意な会社もあれば、電子機器や医療機器に使用される極小部品のレーザー加工が得意な会社もあります。
そこで機械や治具の設計者にとって大切になることは「加工方法を想像しながら設計をする」といことです。加工方法を知らなければ、どういった設計(材質・形状)であれば物として具現化が可能なのかの判断がつかず、図面も絵に描いた餅になってしまいます。また意味なく加工が難しい形状に設計してしまうと、価格にも大きく影響してしまいます。さらに加工業者を選定する上でも、設計物から加工業者を上手に選択する=得意な加工技術を持つ企業を適切に選択することで、品質・価格とも満足できる部品を調達できます。
このように、機械加工の種類・方法に関する知識を深めることは機械設計者にとって非常に重要な要素となります。八田機械でも機械加工部品の設計のご相談から加工業者選定まで承っておりますので、お悩みの際は問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
機械加工の種類
ここからは機械加工にはどんな種類があるのか説明していきます。総務省の”日本標準商品分類”によると金属加工用機械で約300種類(樹脂やセラミックス加工用機械なども含めればもっと多い)があります。また工作機械というと一般的にはプレス機や溶接機は含まないことが多いですが、八田機械が得意とする治具や専用機の設計ではこれらの機械を使用した板金加工品を設計する機会も多いため、ここではあえて挙げています。
- 切削加工
- フライス盤
- 旋盤
- ボール盤
- 板金加工
- プレス機
- 溶接機
- レーザー加工機
以上が代表的な機械加工の種類と工作機械です。治具・専用機に使用する機械加工部品は特殊な例を除けば、ほとんどの場合、上記の機械によって加工されています。なおこれらの機械で製造できない、ばねや歯車などのいわゆる「機械要素部品」は一般的な加工業者では対応できないことが多く、専門メーカーで製造されています。機械設計を始めたばかりの方はまずは上記の機械の概要を知っていただくことがビギナー脱却の第一歩です。もちろん各機械1つ1つをとっても、専門性を突き詰めようと思ったらそれだけで一生の仕事になる程、それぞれがとても奥が深い機械です。以下では特に代表的な加工方法である「切削加工」「塑性加工」の概要についてご説明いたします。
切削加工
切削加工は材料に工具となる刃物を当てて材料を所望の形状に削る加工方法です。切削加工に用いる代表的な工作機械にはフライス盤・旋盤・ボール盤があります。これらの工作機械は機械加工業者にとって”三種の神器”とも言われ、その汎用性の高さと使い勝手の良さから、機械加工業者でなくとも試作用や工作室に設置している企業も多いと思います。切削加工では材料を削る方法は以下の2通りがあります。
① 回転させた工具を材料に当てて削る方法(フライス盤・ボール盤)
② 回転させた材料に工具を当てて削る方法(旋盤)

フライス盤は主にエンドミルや正面フライスという刃物を使用して材料を削り、溝や穴、平面や段の形状に加工することが可能な切削加工機です。加工自由度が非常に高く、NCフライスと呼ばれるコンピュータ制御のフライス盤では、ほとんどあらゆる形状の加工が可能な切削加工の王様的存在です。

ボール盤は穴あけに特化した切削加工機です。キリ(ドリル)やリーマと呼ばれる刃物で穴あけをします。機種によっては雌ねじ加工(タッピング)をすることも可能です。切削加工では穴あけ加工の頻度は非常に高いのですが、ボール盤はセッティングが容易かつ使用に熟練を要さないことが特徴です。また穴あけに特化している分、フライス盤より安価です。

旋盤は材料を回転させて刃物(バイト)を当て削る切削加工機です。材料を回転させるため必ず円筒形となり、円筒形状をした切削加工品のほとんどは旋盤で加工されています。材料外周を削るだけでなく内径加工や、テーパー加工、雄ねじ加工をすることもできます。旋盤を得意とする加工業者ではバイトを自社で加工し、特殊な溝形状に加工することもできます。
これらの工作機械の同系統の機械として、フライス盤に工具自動交換機能が付いた「マシニングセンタ」や、フライス盤と旋盤を組み合わせたような「複合加工機」と呼ばれる多機能機械も存在します。
このような切削加工は金属だけでなく樹脂やセラミックス、木材にも適用される機械加工の代表的な加工方法です。工具(旋盤では材料)の回転数と送り速度が加工の上で非常に重要なパラメーターとなり、材質や工具径などにより決定します。
板金加工
切削加工が概してブロック形状の材料に適用されるのに対し、板金加工は金属の薄板(一般的には6mm以下)を加工する場合に適用されることが多いです。薄板を切断や曲げ、溶接などによって目的の形状に加工することが可能です。単純な形状であれば切削加工よりも短時間での加工が可能なため安価な傾向がありますが、寸法精度は切削よりも劣ることが多いです。板金加工では主に以下の工程で構成されています。
① 材料を切断・穴あけをする ”ブランキング” (シャーリング・レーザー加工機)
② 材料を曲げる ”ベンディング” (プレスブレーキ)
③ 材料同士を溶接する ”ウェルディング” (アーク溶接機)

ブランキング工程では材料の輪郭形状を切り抜き、完成品の展開形状を製作します。外形部分が単純形状の場合はシャーリング(せん断機)で切断し、内部の抜き形状や複雑形状はレーザー加工機により切断します。量産品の場合はプレス機でのブランキングが行われることが多いですが、一点物ではレーザー加工機が使用されることが多いです。

ベンディング工程ではプレスブレーキを用いて曲げ加工を行います。プレスブレーキは油圧式プレスの一種で、比較的単純なL字曲げ・コの字曲げなどで使用されます。L字曲げではV溝が切られたダイ(下型)に材料をセットし、V字のパンチ(上型)で押し曲げることで成形します。このV字の金型を通称「ヤゲン(薬研)」と呼びヤゲンを使用して曲げることを「ヤゲン曲げ」と呼びます。

ウェルディング工程では切断・曲げ加工をした材料同士を溶接で接合します。溶接にはアーク溶接機が使用されます。アーク溶接は材料に電気を流す際に生じる「アーク放電」で発生する熱により材料を溶融させて接合する方法です。治具や専用機の製作で使用される一点物の部品製造では手作業での溶接となる事がほとんどですので、溶接が難しい形状での品質は、職人の技量により左右されることがあります。
また板金加工は「製缶加工」とも呼ばれます。缶というと円筒や箱形の入れ物を思い浮かべますが、そのような形状でなくても便宜的に製缶加工と呼ばれることがあります。
まとめ
- 機械加工とは工作機械を使って材料を加工すること
- 機械加工の代表例は「切削加工」と「板金加工」
- 機械加工に関する知識を深めることは設計スキル向上に繋がる
今回は機械加工の概要についてご説明しました。今後も機械加工に関する記事を随時追加していきますので是非ご期待ください。なお八田機械では切削加工・板金加工品のお見積りや設計相談を随時承っております。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡くださいませ。